ブログ - 20130919のエントリ
5年前の体験話です。
(ごゆっくり、どうぞ)
控え室から出たわたしは前方に歩いていった。太い柱の陰には指名した女が立っていて、わたしに笑いかけていた。
なにか違う感じ。店のHPでみた彼女の姿とはかけ離れていた。顔は笑ってるつもりだが子供の泣きべそのように見えたし、黒の短パンにサンダルをはき、安物のTシャツを着ていて、この世界で働く女にはとうてい見えなかった。
それでも寄り添うようにして階段を上り、部屋についた。
(ここに入ると自分の部屋みたいで落ち着くよ)
わたしはベットに腰掛けて浮かない気分で言った。
(よく来るんですか?)
HPには35歳と紹介してあり、小柄で痩せ気味の体の線はそれくらいに見えた。
(ここにしか相手してくれる女がいないのでね)
(わたしも岡山から出てきたばかりです)
(ふーん)と言いながら、わたしは両手を大きく開いて彼女を抱き寄せ、いつものパターンに入った。
その頃からインポ気味で硬直がむずかしくなっていたので、そんな時は女にアナル・マッサージをもとめることがあった。
わたしはペニスの反応を見ながら予感したので彼女にそのことを話した。彼女は立ち上がってローションを持ってくると指にこすりつけてマッサージをはじめた。
これでだめならバックの中からゴーヤを出そうと考えた。それでアナル・マッサージをしてもらうのだ。
硬直しなかったので彼女の口の中でイった。
50分間の時間は終わった。
(これを使おうと思ったけど。料理に使うのだったらあげるよ)
わたしはバックの中からゴーヤを取り出した。
(ヤカン一つの部屋だから何もないのよ)
(寮に入ってるの?)
(うん)
それで店を後にした。
その夜、店のHPを開き掲示板を見た。
来店のお礼が書いてあり、(思った以上の変態さんでしたが、素敵でした)とわたしのことを彼女が書いていた。素敵でした、は愛想だろうと考えた。
一週間後に彼女を指名した。
HPの書き込みの話をし、前回のパターンで終わった。
(小さい頃からお母さんによく言われました。三日つづけば一週間はつづく、と。二週間つづいたのでだいじょうぶです。次は休みをもらって岡山の友達や知り合いに会いたいです。それまでがんばります)
その夜の掲示板に彼女が書いていた。
なるほど、と思った。自分が若い頃出稼ぎに出かけ、会社の寮に入ったことを思い出した。殺風景で(ヤカン一つ)のような部屋だった。今でも時々夢に見る、不安にとらわれた。
一週間後の掲示板には次のように書いてあった。
(わたしにバツはありません。だれか良い人がいたらいっしょに生活しませんか?)
こんなことまで書いた女は初めてであった。
わたしも相手を探していた。
一週間後に店に予約の電話をいれた。
(チサトさんは辞めました)
(どうしてですか?)
(それは言えません)
わたしはそれ以上探れないことを知っていたので電話を切った。
ヤカン一つの部屋。
良い男が出来て店をやめたのか?高級店にスカウトされたのか?トラブルを起こしたのか?
なにもわかりはしないし、探ることまではしない。
わたしの脳裏にそのヤカンの光景がよみがえってくる。