ブログ - 20200825のエントリ
あと二時間もすれば夜が明け、おまえはこの家から出ていくだろう。もう戻ってこないし、おれと顔を合わすこともなくなる。七百坪の敷地に産まれたおまえが、きれいな女になって嫁に行く朝がくるのだ。閻魔コオロギたちが忙し気に宴会をひろげる畑から、三十分も離れた街中に、おれのバイクで旅立つことになる。この家はおれひとりの淋しい家だったけど、十人の兄妹たちに囲まれてお日様を浴び、二か月間の幸福な生活を送ってきた。 兄妹たちの中で、姉は一か月前に嫁に出、幸福な家に住んで大事にされて過ごしただろうが、おまえの番がやって来たんだ。おまえも姉に似てきれいな縞模様を体に帯び、白い肌をしている。おれは毎日おまえたちの体を撫で、カラスにつつかれてはいないか?変な病気にかかってはいないか?と心配したけど、きれいな姿と顔で嫁に行けるなんて、おれは幸福に思う。
バイクの箱の中で揺られていくけど、おれが大事に運んでやるから心配しなくて良いよ。
九時になればお客さんたちが店に入り、(まあ、きれいなスイカだわね。今年は大雨の被害で全滅したところもあったけど)と、喜ばれるだろう。数千人のスーパーのお客さんの目にふれ、触られるけど幸福な家に嫁ぐんだから嬉しい日だよ。