ブログ - 20161224のエントリ
魔性の女、という言葉が流行ったことがあるが、人間の心、人間そのものが魔性を持っている。原爆で一瞬にして地球の破壊が出来たり、世界のどんな人ともネットで話したり、美味しいものを毎日食べたり、宇宙にまで行くことが出来る生物なんて、野生生物からみれば魔性の怖さを秘めているとしか言いようがない。
特に、(愛)の持つ摩訶不思議さ、不条理性は魔性の格別な例である。
(愛の型)を自分なりに考えてみた。依存型(親子関係、男女が経済的に依存する場合)、服従型(封建制度における服従)、対等型(普通の好き嫌いの関係)、尊敬型、同情型(同情心から生れる愛)、幻想型など思いついたが、ここでは幻想型を取り上げたい。ある男と女がいる。二年間も付き合っているが性的関係はなく、趣味や考え方は共通項が多く、話していると時間を忘れて楽しい。女は男が自分の弟みたいに可愛いといつも言った。男には離婚する予定の妻がいて、彼女は夫の女関係を絶えず監視している。女は未亡人であるが男の妻を意識し、不倫になることを警戒している。
ある時、女は他の男と性的関係を持った。行きづりの出来事で、一か月で別れた。そのことを付き合ってる男に正直に詳しく話した。男は電話で、頷きながら聞いていたが、その夜から胸の中に不燃物を抱えてむかつき、腹が立った。単なる嫉妬心であったが、彼は自分の嫉妬心にも腹を立て、二重の怒りを抱え込んでしまった。女が(悪いことをしたの。ごめんなさい、言いにくいことだけど)くらい言って、話せば良いものを、あそこが大きくて入るのが怖かった、など淡々と話し、性に対する恥じらい謙虚さも感じられなかった。その無神経さがまた、男に不快感と怒りを加えた。
絶交すると、男は女に言ったが、(付き合ってください。お願いします。どうしても嫌なら・・)と女は男に言った。(俺を愛してるのか?)と問うと、(愛、とは違う。好きなのよ)と答え、好きということは愛してるのではないか?と問うと、それとは少し違う、心を許せる、身内みたいな、感じだと言う。
男は女と離れている時には恋心を生じるが、傍にすると、おしゃべりはよくするが手を握りたいとも思わない。(二人でドライブした日、手を握る機会はあったのに一度も握ってくれなかった)女は男に言った。
男は(恋に恋して)いたのだ。幻想に酔わされていたのだ、彼は最近、わたしにそう言った。自分の心がわからない、とも言った。実体よりイメージの喚起力の方が強いのである。わたしも含めてほとんどの人は政治の世界、芸能人の世界、社会の動き、噂、人との関係などにおいてイメージに支配されている。良いイメージを作った者が勝ちなのである。