ブログ - 20151030のエントリ
NHKの委託集金人をしていた時、宗像市・町で若者に出会いました。市営住宅の小さな一戸建てを訪問した時、小柄で敏捷な男が現れたのです。彼は受信料の契約はすぐに結び、金を払ってくれました。世間話になり、わたしがその仕事でいろんな人に出会うとしゃべり、こんな人にも会う、と言って人差し指の先で自分の頬を斜めに切る真似をしました。彼は無表情で首筋の襟元を指でめくり、入れ墨を見せました。わたしは、一瞬、しまった!と考えながらもうなずいたまま表情を変えませんでした。
彼は最近まで組織に入っていて、抗争時には得意の空手を使って闘ったが、組が解散したので、去った。高校時代には人気者で生徒会の会長をしていたが、信頼していた教師に裏切られ、組に入った。そんな話をしながら、彼は左足を軽く上げて蹴る真似を見せたりしたので、わたしは彼の力量を読んだ。
わたしはヤクザや暴力団との係わり合いはないが、彼らは世間で考えるような、険悪な印象ではないと、思い直した。繊細で素直な印象があって、なぜこの人があんな世界に入ったのか理解できない場合があったし、わたしも人生行路のタイミングさえ合えば入っていたにちがいなかった。
反社会的集団、と近頃、政府は名指しているが、国や世間は悪人を必要としているのである。悪人だと名指すことによって自分を善人に見せるという手法は世間にもよくあるし、アメリカなどは絶えず敵を作って自分たちの侵略を正当化している。
これは静電誘導の法則でもある。棒を布で擦ると、+が生じ、同時に他方の端には?が生じるのと同じである。