ブログ - 20131204のエントリ
四十年前のことです。わたしは神奈川県に住んでいて、フリーターの生活をしていました。東京都の東中野にある新日本文学という学校に小説を学ぶために通っていました。そこは歴史的にも野間宏や椎名麟三などもいた由緒ある学校で、今思い返せば本来の学校の姿を示していました。まだ無名の文学者や評論家を講師に招いて、労働者や身体障害者の方達が生徒になって和気藹々の雰囲気で語り合い、和やかなものでした。講義の後は必ず飲み会があって近くの飲み屋にみんなで行きました。酔っぱらって言いたいことをしゃべり、今ではすっかり有名になったヤンソギル(直木賞候補)さんもいました。
今思い返せばその時に在日の講師がいて、日本は東洋文明と西洋文明のぶつかる国だ、と話されその言葉が思い出されます。そんなものの見かたがあるのだと感心しましたが、今では日本、韓国、台湾、フイリピンがアメリカの属国になり、東洋文明は西洋文明にすっかり支配されています。中国や北朝鮮の社会さえも西洋文明に支配されています。
人権民主主義が定着してそれに違反するものは(国賊)みたいな風潮が出来上がっています。たしかに新聞紙面から孤独死や餓死の記事がすっかりなくなり、福祉や生活保護の体制がととのったことはまちがいないでしょう。それは飢えや貧困による暴動を起こさないための為政者の政策ですが、近頃街中や住宅街を歩いていてもどこかおかしい雰囲気があります。チリ一つ無いきれいな道路、話し声も大声もケンカもない街、パチンコ玉も音楽も焼き鳥の匂いも煙ももなく音楽もない街、なにか変だ。人間は歩いているのに気配や空気さえない。まさに静止画像のような世界を感じます。
これは何だろうか?と考えると農耕民族の国に狩猟民族の人権民主主義と文明が無理に臓器移植され、大手術の後に活力がすっかり失われたせいではないか。近代に入る前の日本には人権という言葉の代わりに(もののあわれ)というものがあり、競争もないどこか楽天的な国でした。今は民主主義と言われながらも実質は封建主義であり、仕事を二つも三つもこなしてやっと生活してる人がたくさんいます。昔の奴隷にひとしい労働環境です。他方では公務員という貴族階級がいます。
わたしたちはうまく騙されているのです。