ブログ - 20130828のエントリ

野の草に仏を見た

カテゴリ : 
日記
執筆 : 
nakamura 2013-8-28 3:56

 今の生活のパターンは次のようなものです。平日は午前九時から午後三時までパソコンで博打、つまり株式投資をします。一台のパソコンで株価の値動きを見、あと一台のパソコンで株式や他の情報を見、時には銘柄のデイ・トレードをします。値動きが少ないと面白くないので部屋を出て、畑の農作業に汗を流し、つけっぱなしのヤフーで銘柄の変化を時々覗きます。株式市場が終わるとバックにカメラとペットボトルを詰めて家を出、そばの金比羅山の森の中に入ります。

 金比羅山は高さが二百メートルくらいしかありませんが、一年あまりも通っているといろんな道があって発見するたびに冒険をしてる気分になります。獣道もあり、溝のそばの藪の中から草か枝をこする強い軋みを耳にし、イノシシがいると感じた日もあります。それからは竹の棒でも持っていたほうが身を守れるのではないか?と考えたこともありますが、もし出会ったら大声を出して闘ってやろうと思いました。幸いにしてまだ出合ったことはありません。足元がすべったり、クモの巣が顔に巻きついたり、枝に顔を引っかかれたり、鬱蒼たる杉の大木に霊感を感じたりしながら40分もすると戸切の清流につきます。カメラを取り出して、太陽の日の角度によって変わる川面の光景を探し、画像を見ます。良い光景であればシャッターを押します。写真の収穫を確認するとペットボトルのお茶を飲み、土手に腰を降ろします。良い気分です。

 帰りはそのコースを戻って行くだけですが、時にはまだ歩いていない道・コースに挑戦することもあります。これがまた面白いのです。枯れた孟宗竹が何十本も倒れた道を歩いたり、人の踏み跡がなくなって道そのものが消えていたり、知らないうちにいつも歩く道に合流していて喜んだりします。ともかく飽きないし、日に一度は森の中を歩かないと落ち着かないのです。歩いていて急に雨が降ってきて、密集した木の枝の下に立って何十分も雨をよけた日もあります。

 昨日は晴天で、汗をかいてさわやかでした。帰り道でしたが、路傍に二枚の小さなツワの葉が顔を出しているのを見て、心を打たれ,カメラにおさめました。虫食いだらけの葉っぱで夕陽に照りかえされ、白く光っていました。野草や木が茂った中であどけないな顔をしていました。悩みや苦しみなどとは無縁な表情で、人間からみれば悟りそのものです。芭蕉の句に(山路来てなにやらゆかしスミレ草)とありますが、植物は強すぎる太陽から逃げることも出来ず、雨や雪をさけることも出来ず、人間達の自然破壊にあがらうことも出来ず、イノシシの子に踏まれてもただじっとしてるだけです。

 そこにわたしは、(野仏)を見た気持ちになり、人間の人生を重ね、考えました。

 自分みたいに歳をとってしだいにあの草のようになっていくのだな、それが自然だな、と。

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