ブログ - 20210624のエントリ

フィールド・ワーカーとしての人生

カテゴリ : 
日記
執筆 : 
nakamura 2021-6-24 6:48

  立花隆氏が81歳で亡くなり、知の巨人、としての偉業をほめたたえられている。田中総理大臣の仕事を書いて世間に出し、政権がつぶれたのであるから、巨人の言葉にふさわしい仕事をしたことはまちがいない。よほどの勇気がないとそんな事はできない。殺されたかもしれない仕事なのである。

 立花氏より7歳若い自分はどんな人生であったのか?と問われれば、小説家志望でありながら文学賞予選に二度ほどとおり、最底辺の労働をしながら貧困のうちに亡くなった、という答えになるであろう。自動車組み立て工場で腕時計を見る時間のない労働をし、それが終われば遊び、女に熱中し、帰郷してからはNHKの集金業務で警察をよばれるほどの仕事をし、ついには恵まれない結婚生活を送った、ということになる。

 それが世間の目であるが、実情は少し異なる。自動車工場の更衣室で着替えをしながら、隣の無口な若者が子供の人形を中から取り出し、帰っていったこと、その時、無口で陰気な彼に家庭があることを知ったこと、受信料の集金現場で警察を呼ばれて説教され、後に警察官舎を訪ねて彼から支払い拒否を告げられたことなど、机上では思いつかない体験をしたことは貴重なものであった。

 転んでもただでは起きない、とたえず思っていたし、自分の人生はフィールドワークであると考えていたのでもあった。このホームページのブログも千を超えていて、すべては人生経験から出ている。立花氏は自分と比較にならないほどのフィールドワーカーであり、人間研究、社会研究に一生を捧げ、東大似価値はない、自殺を夢見たこともあると正直に書いておられる。

 市井の研究者としての生き方は世間の人もしているし、皆がフィールドワーカーなのである。虫のいろいろ、人のいろいろ、なのである。

 

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