ブログ - 20210619のエントリ
我が家の表口、その石垣のあたりに、夏になると黒蛇が現れていた。夏の強い日差しの下で、その姿は不気味であったが、強いコントラストをつくっていた。五、六年前から私と出会っていたが、驚きもせず、自分こそがこの家の主だといわんばかりのふてぶてしさであった。自分も少し驚くだけで、顔見知りに出会ったようにその場を去っていた。
ところが、今年の五月ころ、敷地内の畑で出会ってしまった。黒蛇は動きもせず、舌先をちょろちょろさせながら、尻尾の先を痙攣させ、トグロを巻いて、どうやら攻撃態勢を示したようであった。わたしは様子を見ながら怒りが湧いた。地面に、落ちていた棍棒を手に取ると、振り上げ、胴体の部分を叩いてやった。黒蛇は老いていたのかのろのろtろ這い出し、藪の中に消えていった。
それ以来、姿を見なくなった。死んだのかもしれないし、隣地の田んぼに住まいを変えたのかもしれない。
興味を持って、蛇の進化を調べてみると、爬虫類から四肢を捨てて、蛇になったのであった。おかしい、四足があったほうが動きやすく便利ではないか?と考えたが、それは人間の考えであって、蛇の立場にたてばそうではないみたいであった。足で這うよりは滑るほうが早いし、面倒もないのである。蛇が魚を襲う場面を見たことがあるが、すごい光景であった。鎌首を水面から垂直に立て、真上から狙った小魚に飛びかかるのであった。まるで、龍の姿であった。カエルを飲み込む時は、カエルは先に恐怖のあまり、身動きできなくなっていて、それに飛びかかるのである。
黒蛇が去った畑は寂しくなった。
そろそろ出てきて欲しいと思う。スイカの蔓が這い周り、小さな実ができ始めている、そこに黒い姿をまた這わせて欲しい。