ブログ - 20150118のエントリ
(壁のない風景)ー井上佳子著・絃書房、を読んで驚き、何度も泣きました。ハンセンシ病患者の生活を書いたものですが、こんな収容所が平成7年まで存在してたことが今でも信じられません。この国の役人、政治家、マスコミ、医者、国民に対して不信感をもち、ガラパゴス国民という言葉が思い浮かびました。
ハンセン氏病は二十歳前に感染によって発病することが多く、発病すると赤い斑点が皮膚に出来ます。病院でハンセン氏病だと告げられると保健所から係員が訪れ、(らい予防法)を盾にとって患者を施設に強制収容します。一生、そこから出れなくなります。そのあたりは小さな部落になっていて、理容店、浴場、公会堂、お寺、キリスト教教会、スーパーなどすべてが用意されています。外出願いを出して帰宅しても身内は家の中に入れません。近所に知れ渡ってライ病がうつると風評を流され誰も相手にしなくなるからです。病気が完治していても遠くから家を懐かしんで見てることしか出来ないのです。施設内で恋愛をし、結婚が出来ます。子どもが出来ると、堕胎させられ、不妊手術を受けさせられます。遺伝の可能性もないのにです。ナチスの断種法と同じですね。
患者たちの抗議運動で裁判になり、国は謝罪し、賠償金を払いましたが、少しでも変わったことをいうと変人扱いするような国民性がある限り、いつでもどこでもこんな悲劇は繰り返されるでしょう。