ブログ - 20251121のエントリ
週に一度、弁当配りのアルバイトをしている。社会福祉協議会の運営で町内の担当区域を分け、受け持ちは十件ほどであるが、思わぬ人を訪ねることがある。今回は中村という独居老人のことが心に残っている。あなたも中村さんですね、とわたしの名札を見て、言い、少し笑顔を見せ、この辺りにはおなじ名前が何軒かありますね?と初めて、ベットの中から声をかけてくれたのであった。その人たちとはつながりはありませんが・・、とこたえた。
二部屋ほどの安アパートに住んでいて、いつもサッシ戸を叩いて、声をかけ、カーテンをめくると、彼はかけ布団をゆっくりめくって、安物の意財布の中から硬貨出すが、そこに札束やカード類が入っていたことは一度もなかった。別の財布に入っているのかもしれないが痩せた白い指で三百五十円を数え、出すのである。わたしはかけ布団の上に広がった硬貨を数え、ありがとうございました、と言って受け取り、車に戻るの。
それが二日前のことであったが、今日、わたしは布団の中に潜り込んだまま、その中村さんのことが思い浮かび、おれも同じだなと考えていた。
実は数日前わたしに経済的なショックが見つかって、役場に生活保護受給の相談に行ったのである。
中村さんの部屋にはテレビもストーブもなく、布団一枚きりしか見当たらなかった。わたしのテレビは故障したまま放置している、パソコン、スマフォはあるがひじ掛け長椅子に寝転んで、ラジオを聞いたりしてことが多い。
いつの間にかわたしは中村さんになり、彼のどこかのんびりした表情になりきるのである。もしかすると、私と同じように死ぬのを待っているのではないか?いつか彼の部屋に立ち寄って、おにぎりでも持って行ってやろうか、と思う。
