ブログ - 20190224のエントリ
毎日、山歩きをしているが、三日前に山道のそばに子いのししがいるのを発見した。瓜坊から少し大きくなったくらいで、毛も黒く、一メートルほどの体長であった。罠に掛かってるのかと考えて近寄ると、体にワイヤが巻き付いていて、逃げようと走り回っていた。ワイヤは木の根元に巻き付いていた。
どうしたものか?と迷いながら、役場の産業振興課に電話した。そこが猟友会の関係先でもあり、女子職員に、子いのししの所在場所を教えた。猟友会に連絡するとの返事であった。
一昨日、また山歩きをしていると、子いのししは同じ場所で逃げようとして動き回っていた。役場は土曜日で休みだったので、交番に行って相談した。(御主人はそのイノシシをどうしたいのですか?)と意外な質問が返って来た。(可哀そうじゃないですか?このまま飢え死にするまで放置するのですか?それにわなを仕掛けた者の住所も電話番号も書き出されていない。知ってる猟師にメールをすると、それは法令違反だといっている)(法令違反ではありません。それにイノシシは有害獣なのです)と言い、犯罪行為でもないそんなことに関わっている時間はない、と言いたげな気持ちが分かった。
自分で何とかやってみます、と答えた。
昨日は、食パンとミカンを持ってその場所に行った。子いのししは相変わらず、動き回っていて、近寄ると私の体の体当たりするような動きを見せた。みかん、ジャガイモ、食パンを投げてやると、鼻で吹っ飛ばすようにしながら、食パンは少し食べた。ワイヤをペンチで切ってやろうか、体のワイヤを外してやろうか?と考えたが、動きが速すぎるし、どうも怖い。
知り合いの漁師の所に行って相談した。勝手に罠を外したりすると、仕掛けた者が怒るかもしれない、と言う。こんな場合は猟友会も手が出せない、と言う。とりあえず、餌をやって、わなを仕掛けた者が回って来て発見するのを待とうと考えた。夕方に、水で米糠を溶いたのを持って行ってやった。
子いのししの姿が消えていた。ワイヤの巻き付いていた小さな木は鋭利な刃物で切り落とされていた。誰かが切って、離してやったのだろう。
一安心したが、妙に気持ちに引っかかるものがあった。野性・自然と人の関係である。確かに有害獣であるが、誰が有害獣にしたのかと言えば、人間がしたのである。四、五十年前までは、イノシシが里山に降りてくることは無かった。自然が破壊され、仕方なく降りてきているのである。
そこまで人間が自然を破壊したということを考えねばならない。
(イノシシは有害獣だから、餌をやってはいけないのよ)と言った女もいた。(見殺しにするのか?)というと、黙り込んだ。問題提起になりそうな出来事であった。