ブログ - 20140629のエントリ

ペニスが思索する時

カテゴリ : 
日記
執筆 : 
nakamura 2014-6-29 7:30

 ペニスは排泄器官であると同時に感覚器官であり、性交時の道具でもある。性交の快感を記憶し、さまざまなバリエーションをストックし、女との思い出さえアルバムに残している。眼、耳、鼻などは見たり聴いたり匂ったりして脳に情報を伝え、判断を仰ぐ単純な器官であるが、ペニスは脳とは別に追憶、思考、思索、夢想をし、脳にちかい働きを持っていて、その点では第二の脳である。女の膣や子宮も同じである。

 歳を取ってくると性欲も衰えてくる。それはションボリしたペニスに対して親である脳が心配し、まさに息子の先行きを案じているのに似ている。若い頃愛しあった女たち、その思い出を二人でたぐりよせてイメージに酔ってみたり、悪所に通って病気にかかり悩んだこと、エロ雑誌やビデオをみて楽しんだこと、それはそれは人生と同じ長い旅路があった。忘れはしない。

 脳の中で性感が芽を出した時、ペニスにまで伝わるには体の半分の経路があるし、勃起するにはさらに時間がかかる。若い頃であれば時空を越えてダイレクトに飛脚は走ったが、67歳の歳になると、飛脚は樹海の中をさ迷うようになる。まさに樹の海、その海底である。見上げれば林立したヒノキが空を塞ぎ、人一人が歩ける地面は石ころだらけで、樹の根が鎖骨のように飛び出して足にぶつかり、枯葉に滑りながら暗い中を歩き続ける。前方から得体の知れぬ者が現われそうな恐怖の中で飛脚は行者にもなって、密書を届けようとする。誰にも見せられない密書。三叉路に入って道筋をまちがえ、まちがえたことにいつまでも気づかないで山の頂上へ向かっていってる場合だってある。

 密書をやっとの思いで依頼者に届けた時の喜びはなんとも言えない。おたがいに労をねぎらい喜びをわかちあい、後は依頼者が家の中に戻って紐を解き、プレゼントの中味を見て顔を輝かせるだけである。

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