ブログ - 20111207のエントリ
私は仕事がらあらゆる人、あらゆる地域を訪れます。驚くべき人に会い、驚くべき話を耳にすることがあります。
この話は宗像市のある戸建て団地を訪問した時のことです。インターホンを押し、出てきたのは80歳にちかい老婦人でした。どこか元気のない感じでしたが仕事の件は片づき、彼女は身の上話をはじめました。主人と別れてこの家に住むようになったのですが、と彼女は言い、わたしが黙っていると(前の家で主人が庭に除草剤をまいて私を殺そうとしたのです。体の調子がどうもおかしいと思って病院にいくと肝臓をやられていました。主人が雑草をかたづける口実で畑に除草剤をまいたのがわかったのです。わたしはそれを白状させました。息子達も知っています)
私は注意深く耳を傾けていました。
(それに主人はヒロポンを打っているのです)
彼女は言いました。
(ヒロポン?)
わたしはそれが覚醒剤であることは知っていましたがオウム返しに聴きました。
(主人も気の毒な人です。特攻隊員だったのですが、当時死の恐怖に耐えるために若い特攻隊員たちは覚醒剤を打って心を強くしていたのです)
私は驚いて言葉がでませんでした。戦後65年が経っても主人はその習慣から抜け切らず、ヒロポンを打ちつづけたのです。
現実はそんなものだったのです。それに美化された特攻隊員達があの若さで死をよろこんで迎えるなんてでっち上げられた観念だったのです。私は胸が痛みました。
私はバイクで走りながら、彼女の家のそばを通るたびその話をおもいだします。