ブログ - 20250114のエントリ
貧乏学生であったころ、エロ小説を書いて稼ごうとしたことがあった。ボロアパートの隣に越してきた女との関係を書いた。彼女の顔がシミの多いものであったと書いたが、寄稿先のスポーツ新聞の編集者は自分に相談もなく、美人であったと書き換えて紙面にのせた。その時は新聞に出て、わずかな原稿料をもらえたことで喜び、そんなものなのか?と思っていたが、いまはちがうのである。これが世の中を支配する手品であることに気づいたのである。
ある有識者が原稿を頼まれて書いたとする。彼は日ごろ自分が考えていることを書き、相手もそれを望んでいると勘違いして書くであろう。原稿を渡すと相手は、先生、素晴らしい記事ですがこの部分を読者が興味を引くような内容にしてくれませんか?と言って、書き換えを求めてくるであろう。編集者にとっては内容よりも読者受けするかどうか?売れ行きしか眼中にないのである。書き換えてそれで金が入ればけっこうなことなのである。
虚偽報道にならない限り、これで世の中は通用し、それが手品師たちの力量であり、これがあらゆる分野で行われているとするなら、事実や真実などはあっというまに消えてしまい、カフカが小説で書いているように、虚偽と欺瞞が世界の秩序なのだ、ということになる。