ブログ - 20170921のエントリ
今(夜)、部屋の三方の窓の外から数匹の鈴虫の鳴き音が起こり、鳴き続けている。庭の楽団みたいに一晩中、鳴き続けるであろう。蟋蟀のコロコロと転がるような鳴き音も混じってくるが、鈴虫の甲高い高貴な音にはかなわない。
何だかロマンチックな気分になるが、また悲哀感が感じられいる。夕食の前にウイスキーを三度、喉を鳴らして飲んで、良い気分だが、心臓に異和感が生じている。5年前に心臓のバイパス手術を受け、退院時に、執刀医から、酒と煙草は絶対駄目ですよ、と告げられていたからだ。酒を飲むと不整脈が出ることは体験していたが、夕食前に酒を飲む癖がついてしまった。
集金の仕事で、宗像市自由が丘を回っていた時のことを思い出した。二か月に一度、その老婆からお金をもらい、世間話をまじえた。勝気な人で世間を批判する会話が多かったが、時々、(死んだが勝ち)言った。その言葉は私の心に張り付いている。死ねばすべての責任から解放される、という意味合いだろう。もう10年前のことになるから、彼女はあの世で(そうじゃない。やっぱり死んだが勝ちだったのよ)を言ってるかもしれない。
死は否定も肯定も出来ない現象である。わたしの心臓が止まったとしてもあの鈴虫、あるいはその子供たちは今のように庭で鳴き続けているだろう。それで良いのだ。