ブログ - 20150518のエントリ
今日の朝、産直の店に行った時、昔の仕事仲間に会った。彼から意外な話を聞いた。NHKの集金をしていた時の労組の仲間だが、話題の中で、彼がなぜNさんの死に様に進めたのかわからない。彼も余命を控えた身だからであろうが、すごく感動した。Nさんが死んだことは数ヶ月前に彼から聞いていたが、深夜に彼が苦しみ始めて、妻が驚いて救急車を呼ぼうとした時に妻を怒鳴りつけたと言うのだから、唖然として何とも言えなかった。Nさんは北九州放送局の分会長であった。わたしが福岡放送局に分会をつくる時に応援してくれ、20年以上の付き合いだった。NHKから苛められる集金スタッフを身を削って助ける、男の中の男であった。営業部長のネクタイを掴んで首を絞め、団体交渉をした話も聴いた。わたしは彼を現代の(無法松)だと思って尊敬していた。彼は退職しても毎年、年賀状をくれた。いつか会いたいと考えていたが会えなかった。
妻は夜中に寝ていたNさんの呻きで目を覚まし、顔を見た。青ざめ、息も絶え絶えに低く唸っている。異常事態だと判断した妻は救急車を呼ぼう、とつぶやいた。馬鹿!貴様、そんなんは呼ぶな!と苦しげな声で怒鳴られ、迷ってしまった。心筋梗塞を起こしていたのだ。わたしは経験があった。あの痛みは心臓を刃物で刺されるような感じで、耐えられないものだった。三年前、病院のベットにいたわたしは心筋梗塞を起こし、看護婦を呼んだ。応急手当を受けてで助かったのだった。あの痛みの中で、呼ぶな!と怒鳴りつけるなんて信じられない。どんな気持ちだったのかは死んだ今では推測するしかない。
Nさんの妻は娘を電話で呼びつけた。駆けつけた娘は救急車を呼んだ。担架に載せられたNさんは病院に着く前に死んでいた。心筋梗塞を起こすと、心臓を取り巻いている血管が詰まって酸素が行かず心筋細胞が死んでいく。三分の一も死ねば心臓は通常の動きが出来なくなると思う。わたしの心臓は五分の一くらいが死んでいるので以前のような元気はない。
こんな推測をわたしはする。Nさんはこう言ったのだ。?お迎えが来たんじゃ!邪魔するな!行かせてくれ。
わたしは逝く時にそんな言葉を残してみたいし、そんな男になりたい。