ブログ - 20231220のエントリ
このタイトルは鎌田氏によるルポ(自動車絶望工場)から借用させてもらったものです。
ダイハツ自動車が車の品質の不正行為により、販売を全面停止にしたというニュースを知って、この記事を書くことにしました。販売の全面停止とは生産の全面停止であり、従業員の人たちは一時的に仕事を失い、ショックは大きいでしょう。自分も五十年前、自動車およびその部品のライン作業に従事したことがあってあの時代を思い出しました。当時、日産自動車で働いていましたが、安全・品質・生産性のスローガンはすべての自動車会社、またメーカーの標語であったのです。ところが実態は逆で、生産性・品質・安全性であり、流れ作業の中で腕時計を見る時間がないほど作業に追われ、朝出、中勤、夜勤と体調を狂わす勤務体制に組み込まれ、体を壊す者も多かったのです。
自分の受け持ち作業が時間通りに終わらなければ下の工程の者の仕事が出来ず、烈しい時には部品や工具を投げつけることがあり、私も何度かボルトを投げつけられたことがありました。昼食の時間になると安全靴をカタカタ鳴らしながら、囚人のように食堂に駆け込みました。
刑務所の囚人でさえ、健康で文化的な生活が保障されているのに生産現場はそれを犠牲にして生産に励み、現在も励んでいるのです。金を十分にもらい、良い家に住み、良い車に乗っているのは事実ですが、それにしても仕事を転々と変えた自分にしてもあの世界には二度と戻りたくありません。
日産追浜工場で乗用車のプロペラシャフトの組付けを一か月間やりました。組み立て中の車は頭上を流れ、その下にもぐって二十キロちかいシャフトを担ぎ、ボルトで組みつけていきました。暗くて見えず、ただ夢中になって作業をしましたがボルトが正確に締まったかどうかも危うかったのです。最終工程でチェックされるにですが、町を走るその車種を見ると、だいじょうぶかな?と怖くなったものでした。
今回のダイハツの事件はなるべくしてなった構造的なものです。
間接部門の社員は入社の時は実習で組み立て作業をしますが、それ以降はほとんど関係のない部門になってしまうのです。どの会社もそうですが仕事がタコツボ方になって全体が見えない構図になってしまっているのです。循環と交流がなく、残念ながら起こるべくして起こった事件でしょう。
これは日本、世界全体の問題であり、ピラミッド型の構造を変えるしかありません。
ウクライナ戦争、イスラエル戦争もそうです。全体が見えず、自分達だけの憎しみだけで動いてしまっているのです。