ブログ - 202311のエントリ

思い出ははるか遠くの線路上

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日記
執筆 : 
nakamura 2023-11-28 7:01

  ボロアパートの寝床の中で、女の声を聴いた。

  「起きなさい!まだ寝てるの?朝よもう・・」

  入口のベニヤのドアからであった。

  付き合ってる女はいなかったし、約束もなかったが、起き上がることにした。

  布団を押し入れの中に入れ始めると、二人の中年女が六畳間に上がり込んできた。

  「こんな時は、女を押さえつけてやるのよ」

  まったくく知らない女がそばに立っていて、古くからの知り合いみたいな態度であった。

  「仕事は午後三時からなんで、これから食事をする」

  と、自分は言いながら、その二人の女が誰なのか?もしかするとどこかで会ったかもしれない、こんなにしたしげに上がり込むには・・。

 そこは神奈川県相模原市の、はるか五十五年前の光景であった。

 女たちはすでにちゃぶ台を出して、座っていた。

 「仕事は大変でしょう?」

 「うん、ライン作業だけど手押しでやってるから楽だよ」

 トラックのブレーキを組み立てていて、自転車で工場まで通っていた。

 納豆と卵、ラッキョウをちゃぶ台の上にのせて、食べ始めた。

 「これ、美味しそうだね!」

 若い方の女はいうと、爪楊枝を伸ばして、口に入れた。

 母親の手作りで福岡からおくってくれたものであった。ラッキョウは大好きで貴重品であったが、食べるな、とは言えなかった。もう一人の女も爪楊枝で取って、食べていた。

 女たちが生命保険の話を始めたので、勧誘員であることがわかった。

 勧誘の話を始めたが、まったく関心はなかった。

 「彼女はいるの?」

 「いない」

 などの話を交えると二人は名刺を置いて、帰った。

 それから、工場に出かけたのであるが、作業をしながら、まだ夢の続きを見ていた。

 女達はもう一度、訪れたが、契約を断わった。

 玄関ドアの鍵などかけたことがなかったのであんなことが起こったのであるが、あの時、布団の中に抱き入れたらどうなっていたか?想像するだけで楽しい。やはり、男と女がいるからこの世は楽しいのである。

  

  

時代に遅れる?

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日記
執筆 : 
nakamura 2023-11-22 10:08

  四十代のある男が、自分の部屋を訪れるようになった。人の噂や店の評判、悩みごとなど、話は尽きない。彼はゴミ屋敷に近い部屋の座布団に座り、出された菓子を摘まみながら、のんびりした口調でしゃべり、話し好きの自分の舌は休むことなく動き続ける。彼は時々外の庭に出て煙草を吸い、小用を足す。

 部屋の戻ると、本棚の埃だらけの本を見たり、ビデオをみたりするが部屋には暖房がないので寒そうなそぶりをする。エアコンがないんですね?といつも訊くので、必要がない、寒ければ服を着こめばいいし、布団のもぐりこめばいい。冬が寒いのは当たり前のことだ。動いてそばの畑を耕せば温まる、とこたえるが納得しないようである。そして、テレビは壊れたままなんですね?と言いながら、リモコンのスイッチを押したりするが、電池もすでになくなっているのである。困らないんですか?とたずねるので、スマフォで用は足りるし、無くても困らないと言ってやる。それでも彼は四時間近く、過ごして帰る。よほど、この変人が気に入ったのか、彼に行き場がないのか?わからないが、自分は話し相手が出来てうれしい。

 そこで感じるのは自分が時代に遅れているということであるが、逆に、あなたはエアコンを使うことが地球環境を破壊していることに気づかないのか?言ってやる。すると、それはそうですが・・・・、と答えながら自分の習慣を変える気はないらしい。

 今年の夏が暑すぎたことも彼はしゃべり、マスコミはエアコンを使って熱中症から身を護りましょう、と訴え続けた。それによる環境破壊については口を閉ざしているのである。

 こんな、騙し合いは止めろ!と言いたい。エアコンを使うのは病人のみ、除草剤の使用は許可制にしろ!と言いたいのである。

無事に、死ねる?ということ。

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日記
執筆 : 
nakamura 2023-11-11 7:02

  昨日は大手スーパーでの、カート整理の日であった。週に一、二回ほどしている。が、雨の日は出勤のことでいつも思い悩む。土砂降りならポンコツ車をだすのであるが、小雨だとバイクで間にあいそうなのである。だが、バイクはエンジンに雨がかかると、途中で止まってしまい、信号待ちの時などはエンジンを吹かし続けなけれならなくなる。

 仕事は午後四時から七時までで、帰宅の頃は真っ暗になっており、車の走る雨降り道をバイクを走らせるのは危険である。軽のポンコツ車はもうすぐタイミングベルトが切れるかもしれないという強者である。切れればエンジンはとまってしまい、今どれくらいの状態なのか?わからないから、いつも不安である。また、曲がりくねり真っ暗な車庫までバックで入れるのが怖い。

 そんなことで、午後三時ころ、やみそうだと言う予報を知って、バイクを出した。予報通りやんで、帰りはいつものスーパーで半額になった弁当を持ちかえって食べることができた。

 若い頃を振り返ってみると、もう最期かもしれないという危険には、四、五度であっている。直近では十年前の心筋梗塞であり、あと二時間遅かったら心臓はとまっていたのであるが、夕方であったため、五人の手術スタッフをそろえることが出来たので助かった。その前は、女とのトラブル・・。マンションから現れた車にぶつかりそうになって、後部席の女が、ぶつかる!と叫び、急ブレーキをかけた。女はむち打ち症になり、同時に持病のてんかんを起こしてしまった。およそ、二年間ほど入院した。退院したが退院できなければ自分が生活の面倒をみなければならなくなったかもしれなかった。不倫であったので会社に知れば解雇された可能性があった。

 若い頃は、土方のバイトをしていて、建設現場のビルから転落しそうになったことがある。七階のフロアの端から鉄パイプがはみ出ていたので固定されていると勘違いして踏んでしまった。体が七階から落ちそうになり、両腕を端に掛けて体を支え、落下を免れた。

 集金の仕事をしている時、前の車がいきなり左折し、追突しかけたことがあった。それから、女との三角関係を起こし、男に殺されたかもしれないこともあった。

 修羅場をふんだ人生だった。

 そして、余命をひかえた76歳の今、あと五年で無事に、死ねそうなのである・・・・。

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