ブログ - 20190405のエントリ

夜の教会。

カテゴリ : 
日記
執筆 : 
nakamura 2019-4-5 7:29

  その教会は、、一戸建ての家ほどの大きさで、天井の高いゴシックスタイルであった。ドアを除いて、厚い一枚板で造られ、全身、緑色に塗られていた。時々、脱色しかけた外壁を信者たちは力を合わせて、刷毛で塗った。

 定期的に通う信者は十数人であったが、全員、老人であった。慎ましい顔で、パイプオルガンから流れる演奏に合わせて、賛美歌を歌い、聖句を読み、神父の話を聞き、両手を組んで祈った。

 自分はその中で一番若い71歳であった。

 日曜礼拝に通い始めて一か月になったが、その夜は初めて祈祷会に行ってみた。七時ころ、着くと、団地の中にある教会は真っ暗で、街灯もなく、人の顔が見えない有様で、人影もなかった。車一台が停まり、中から家族が出て来て、傍の牧師館から神父が現れ、ドアの鍵を開けた。

 祈祷会は広間の裏の集会室で行われ、五人が木のテーブルを囲んだ。

 祈りから始まり、神父の用意していたレジメの文章に自分は見入っていた。ルカとマタイの聖句が引用され、解説されていた。(幸いと不幸)(敵を愛しなさい)など、聖書に親しんだ者であれば知っている内容であった。

 (今泣いている人々)(今飢えている人々)(今貧しい人々)は幸福です。神が彼らこそ天国に招きたもうからです。と、神父は話した。まだ若い男であったがおっとりして重厚な慈愛が感じられた。

 逆に、(富んでいる人)(今満腹している人)(今笑っている人)達は立場が逆転するから、不幸、と言えます。と神父は常識とは異なる価値観を話した。

 一時間半ほどの集会であったが、最後に一人一人が神に祈った。

 彼らは一分間ほども熱心に祈ったが、自分は何を述べたら良いのかわからなかった。あなたは今日は祈らなくて良いですよ、と神父は言ったが、祈らせてください、と応えた。

 初めてで、言葉がうまく出ません。六年前の心臓バイパス手術をして元気になりました。心筋梗塞を起こして、死にかけていたのですが、生き返りました。それは振り返れば神のお力だったかしれません。手術を終えて、三日ぶりにご飯を食べた時、美味しさに涙が出そうになりました。山の中を散歩していた時、生きるように、神は人に美味しさを与えているのではないか・、と考え、眼からうろこが落ちました。それに自分が病弱であれば健康に気を付けていたのですが、健康だったので人の二倍のご飯を食べていました。今日のお話は自分の体験から出たように感じられました。神様、有り難うございます。ここに感謝します。

 言葉はすらすらと出て、信者たちは良い話だったと言ってくれた。

 

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