ブログ - 20160120のエントリ
木枯らし吹きすさぶ3日前、部屋の寒さに耐えかねて外に出た。こんな日は町営の風呂に行くか図書館の暖房にひたるかであったが、わたしはカラオケ・スナックに行った。馴染みの店はシャッターを下ろしていたので地下の店に入った。
初めての店であった。88歳のママがわたしを迎えてくれた。店内には同窓会をしてた10人くらいの中年男女がおしゃべりをしていたが、他には93歳の男と中年の男がカウンターに座ってるだけであった。
わたしが7曲ほど歌うと、ママはわたしのそばに腰を下ろした。60年前に呉服屋で働いていたわたしの母を知ってるとか、彼女も心臓にペース・メーカーを入れていてわたしと同じ身障会に入っているとかがわかり、話が盛り上がった。
(今、特攻人形を作っているの)
というので怪訝な顔をすると、17、18歳の特攻隊員たちが死ぬ覚悟で出かける時、女たちが御守りにして人形を作ってあげたのよ、と言う。今度、公民館でその話をするので準備してるの、特攻人形は毛糸を編んでつくるのよ、風船爆弾の話もするの、など、午前12時から午後五時頃まで話し込んだ。
翌日は英会話教室の日だったので、そこでその話を英語ですると(特攻隊)を知らない女もいてわたしは驚き、相手も驚いた。オーストラリア人の教師も驚いていた。片手くらいの人形らしいが、スナック・ママは今度わたしのために作ってあげると言うのでうれしかったが、自分はそれを抱いてどこに行くのだろうか?人生の目的もほとんどないわけであるから、老死に向かっていく時の支えになるであろうか?
特攻人形の話は小さいながらも大きな出来事であり、わたしの世界を広がらせたのだ。風船爆弾の写真集も貸してくれたので、今、読んでいる。