ブログ - 20131126のエントリ
頭の上に白っぽい空が広がり
団地の家々は箱庭の中で隙間なく並んでいた
白い道と白い壁
ゴミ一つない庭と道
猫も犬も小鳥さえ声を出さず姿を見せない
白い街だった
人の姿も子供の声もカレーの匂いもなく
自転車も車も見かけないが
廃墟なのかそうではない
清潔でルールを守るきちんとした街なのです
真面目な人ばかりです
でもなにかおかしい
なんだろうか?
そうだこれはディスプレイの中から出てきた静止画像にちがいない
仮想の街にちがいない
静止画像の街の中をぼくは歩き、笑顔の男を郵便受けに押し込んでいった
ひまがあったら遊びに来ませんか!
と男は叫び、イノシシの焼肉をいっしょに食べようよアイガモたちと遊ぼうよ
オカリナ・コンサートもしたよ
赤土をこねて久土をつくったからもうすぐ餅つきもするよ
男は最大限の笑顔を見せて叫びながら
木枯らしに吹き付けられながら、捻じ曲がって押し込められた
わたしも仮想人間になりかけていた
バイクで走り、止まっては
狭い階段と門扉の穴を出入りして回った
ネズミのように動いていた
初めて声を耳にした
玄関先のすみで丸い枯葉が踊り床に体をこすっていた
大晦日はもう一ヶ月先なのよ
新しい年を迎えるのよ
きっと良い年になるよ
枯葉は舞いながら男と話していた