ブログ - 20230822のエントリ

  私の家は広く、時々、野良猫がすみかを求めてやってくる。二年前には白猫が自分の部屋の前までやってきて、私の顔色をうかがいながら、返事を待っていた。エサをくれれば入居の承認であることを知っていたのであるが、わたしは黙って見ているだけではっきりとした意思表示をしなかった。同居人が猫嫌いで忌避剤をまいていたこともあるし自分が面倒をみる自信もなかったので、白猫を受け入れることは出来なかった。

 それから白猫は野菜作りをしている自分のそばにやってきたり、遠くから自分を観たりしていて、三年間がたった。私の身内の一人になっていた。ある時、白猫がクリの木の下に座っていたので近づいて、手を伸ばして誘いをかけた。彼女(雌猫)は考えているようであったが、立ち上がり、静かに夕闇の中に消えていた。

 それが最後の出会いになってしまった。猫が好きなのでよく動画を見て楽しんでいるがいまだに飼おうする決心はつかない。自分の寿命は近づいている。最後の連れ合いが欲しく、それは猫でも良いのである。いや、猫の方が人間以上に私を理解してくれるであろう。 

 またあの白猫が戻ってきてくれれば最後の連れ合いにしたいと考えるが、この二年、姿を見せないのである。

 見返りて夜闇に消えし白猫や化身なりても訪ね来や

 

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