ブログ - 20180606のエントリ
山道を歩いていると、おしゃべり鳥がよく鳴いている。鳴くと言うより、長い時間、おしゃべりをしている。ひどい時には一日中、鳴いているが、何をしゃべっているのかわからないし、何という鳥なのかも知らない。(ここは自分のテリトリーだ)と訴えているのか、異性を求めているかであろうが、甲高い声で元気が良い。
そのおしゃべり鳥が広い我が家にも訪れるようになった。朝早くから、陽が沈むまで鳴いていることがある。小さな鳥であるが、木の枝葉の中に隠れていて、見えない。孤独なわたしに自然の歓びを与え、生きていることを祝ってくれているのだろうか。都会では味わえない歓びである。
わたしはその鳴き音に起こされ、庭の畑のナス、トマト、ニガウリ、コショウ、ピーマン、サツマイモ、ウコン、ニラなどを巡り、お早う、と声をかけて回る。野菜家族たちは主人を出迎え、(ぼく、何かに掴まりたいよ)とキュウリが蔓を伸ばし、トマトが(もっと長い杖が欲しいよ)と頭を伸ばし、ニガウリがヤブガラシに絡みつかれて困り顔を見せている。
わたしは彼らをなだめながら、雑草をむしってやる。独居老人の一日の始まりである。アジサイが白、薄青、薄ピンクの花をあちこちでつけ、ビワが橙色の実を付け、梅の木が鈴らに実を付け、キノコが枯れ木に生え、ドクダミが白い花を咲かせ、賑やかな我が家である。
わたしが床から起き上がらなくなる日が来ても、彼らは私を待っているにちがいない。