ブログ - 20121024のエントリ
秋になると、庭からいろんな虫の鳴き声が聞こえてきます。マツムシ、カネタタキ、鈴虫、コオロギがなきつづけ、まるで音楽会です。わたしはベットの中でひとり楽しんでいます。かれらが交わって鳴くことは少なく、日取りが決まっているかのようにそれぞれの夜に鳴いています。終わりの頃には鈴虫の大合唱になり、シーズンが去っていくことがわかります。
庭が静かになった頃、床下から一匹のコオロギの鳴き声が伝わってきます。あまり元気がなく、静かに夜明けまで鳴くのです。メスを呼ぶ集団見合いのシーズンが終わり、相手にめぐまれなかったのか、遅く産まれたせいか、いつまでもメスを呼びつづけるのです。次の日もその次の日も鳴いているのはその声だわかります。
わたしが東京での生活に見切りをつけて帰郷した頃から、わたしはそのコオロギに気づいていました。
一人ぽっちの寂しさを感じていました。いつの日かからその鳴き声は消えてしまいます。相手が見つかったのか死んだのかは分かりませんが、もしかすると、前の年に鳴いていたコオロギの子供かもしれず、100年つづいたこの古屋敷の末裔でこの家の者たちと畳の上と下の関係でつながりを持っていたのかなどと想像します。
今日もわたしがベットに入った頃、聞こえてくるでしょうか・・。