ブログ - 20170715のエントリ
月に2,3度、英会話教室に通っている。英語のイントネーションは音楽を聴くような心地よさがあって、中学生の時から好きであった。教師はアメリカ留学から帰って来たばかりの若い女の人で、授業は最初からすべて流暢な英語で話し、私は異国の言葉に聞き入っていた。大学を卒業すれば商社マンになりたかったが、私の学力も低く、結局は進路を見つけられなかった。
国際交流会の運営している英会話教室はミス・ティユリンという若いオーストラリア人・女性が講師であるが、授業は生徒の好奇心と思考力を刺激し、物忘れの始まった私を鼓舞する内容である。先週は、何か変わった事はありましたか?話してください、といういつもの内容から始まり、わたしは大雨で木や草が元気になって、選定や草刈りに忙しい、と答え、彼女はその英語を理解し、生徒の中には大雨で菜園が壊された人もいる、と答えた。すべて、英語でやり取りする。
次に彼女はパソコンのプロジェクターを開き、アニメを二分間ずつ、二度上映した。父親が家の机に向かい、山積みになった書類をパソコンに打ち込んでいる。6,7歳の息子はそれをぼんやり見ている。翌朝、父親は出勤し、疲れた足取りで他のサラリーマン達と会社に向かって歩いている。
そばの公園ではバイオリン弾きがうっとりした顔でバイオリンを弾いている。
アニメはナレーションも会話をいっさいなく、画像のみである。
(この作者は何を訴えたいのでしょうか?)
ミス・テュリンは60歳前後の生徒達に向かって言った。
わたしはすぐにはわからなかったが、やがて言った。
(父親も息子も不幸である)
(何故ですか?)
彼女は尋ねてきた。
(物質主義、資本主義が彼らの心を壊している)
と言いかけて、物質主義と言う英語が浮かばず、半端な答えしか出来なかったが、彼女は理解したようであった。
(この授業はミス・ティユリンが自分自身で考え出したものですか?)
(アニメはウェッブから取ったが、全体は自分で考え出した)
(それはすごい!)
こんな内容で一時間半の授業はあっという間に終わった。
今の学校教育は昔の暗記主義から脱出し始めているであろうが、まだ点数主義に振り回され、社会に出た場合の成果主義の予備軍になっている。物事の本質に立ち向かう思考力を奪い、コミュニケーション力や個性への評価はしない。学校自体が一般開放され、世間の人が自由に授業を観察し、生徒にもなれるようにすべきである。公開状態になればイジメもなくなるに違いない。