ブログ - 20120814のエントリ
7月23日に心臓の手術を12時間かけておこない、成功した。3人の医師でバイパスを1本通し、心臓に出来ていたコブをなおし、動きのおかしかった弁を機械弁にとりかえた。
全身麻酔がかかっていたため、手術の記憶はまったくなかった。
4日間、集中治療室にいれられ、つぎに観察室という手術後の患者のはいる3人部屋に入れられた。その頃から、精神の錯乱が起こりはじめた。自分が病院を5つも6つも変わったとか、路上で倒れて病院に運ばれたとか、事実でないことをさも事実であったように信じ込んでいた。看護婦にそのことを話すとそんなことはなかった、といい、わたしは自分が手術前に忠告されたせん妄状態におちいっていることをしった。事実かせん妄か区別のできないその他の事例を持ち出して彼女らに問い、90パーセントは区別ができるようになった。
ところがもう一つ、おかしな行動がわたしにではじめた。病院からの脱出行動である。ケイタイも財布も取り上げられた状態なのにベットの柵をはずし、まだ歩ける状態でもないのに部屋から抜け出し、エレベーターにむかい、外に出ようとしたのだ。看護婦たちはそれに気づき、監視体制にはいった。わたしは脱出をあきらめなかった。ともかく、家に帰りたいいっしんであった。6度目くらいで成功した。点滴スタンドを右手に握って体をささえ、浴衣姿、固定バンドを胸にしめていた。エレベーターにのって1階までおり、玄関を出た。バス乗り場とタクシー乗り場があり、タクシーにのろうと考えていた。ケイタイも財布も持っていない、入院費も払わず、退院手続きもしてないことは意識の中になかった。
16時頃であった。まだ暑いので涼しくなるまで待とうと考えてそばのベンチに腰をおろしていた。すると見慣れた顔の看護婦が現れ、あと三人の看護婦と医師が現れ、「あなたはまだ治療中です。ベットに帰ってください」といった。「もう手術も終わったじゃないですか。どこに行こうとぼくの自由じゃないですか!」わたしは本気で反論した。「これからが治療なんですよ。手術のあとも治っていないし、薬の調合だとかいろんなことがたくさん残ってるんですよ」医者はいい、説得してわたしをベットにかえした。
それからは医者のいうことをきいて治療にはげみ、8月11日に退院した。今でもあの時発見され、ベットにもどされて良かったと思う。医者のいうことが正論でわたしは自己都合で動いたのであった。世の中の事件はこのようにして起こることがわかった。正論ばかりを振り回していたわたしにとってショックであった。考え方を大きく変えねばいけないと考えた。