「何の用事でしょうか?」
私の質問に、二人はしばらく考えている風だった。
「そろそろ、手を引きませんか?」
「何からですか?」
「わかっているでしょう?あのコンピューター狂いの男からですよ、いつまでも学生気分でいる」
わたしは黙り込んだ。
「あれは偶発の事故だと本当に思いますか?」
もう一人の男は言って、薄笑いを浮かべた。
「えー?」
わたしは驚いて、今そう言ったじゃないか、と考えた。
「何を言いたいのですか?」
わたしは彼の顔を見詰めた。
「あなた達に悪意を持っている者は何人かいるのです。狙われた可能性だってある」
彼は言って皮肉っぽい表情を浮かべた。
わたしは黙り込み、少し怖くなり、お前達もグルだな、と言いかけた。
「穂高さんは元気ですか?」
中村は笑顔で言った。
わたしは答えず、尋問の仕方が下手だな、と思った。遠回しに誘導していくべきなのだ。
「第二のオウム事件が起こるんじゃないかと心配しているんですよ」
「あんなのはもううんざりだ」
もう一人の男が口を開いた。
「私達は市民の平和な生活を守るのが仕事なんですよ。あんな事件は二度と起こってもらっては困る。立花さん、あなたもそうでしょう?家庭がありますよね?平和が大事ですよね。政治的主張をしたければきちんとした政治活動をし、政党を作ればいいじゃないですか?日本は民主主義の国ですよ」
中村は落ち着いて喋り続けた。
わたしは反論すればやぶ蛇になることが分かっていた。
彼がわたしを呼んだと言うことは事故のみならず、わたしを監視してるということなのだ、そのことがはっきりした。
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