わたしは興奮しすぎて金縛りにあった。
が、穂高の言葉に吸い寄せられていった。
「実ハ私ハ北朝鮮ニ亡命シヨウト考エテイルンデスヨ。ルートハ持ッテイル、日本赤軍ノシンパハマダ居マス」
わたしは驚いて声が出なかった。
「ドウシテ北朝鮮ニ?」
「敵ノ敵ハ味方ナノデス」
「アナタハ北朝鮮ハ嫌イナノデショウ?」
「ソウデウスガ、コノ際ソンナコトハ言ッテオラレマセン。利用スルダケデス。ソレニ今ノ所、近クデハ北朝鮮以外、反体制運動ガ出来ル所ハ有リマセン」
「デモアナタノ考エハ北朝鮮ニトッテモ反体制デハナイノデスカ?」
「国民ノ機嫌ヲ取ッテ搾取スルノデハナイ。国民ヲ指導スル政権ト言ウノハアル程度独裁的ニナリマス。北朝鮮ハ悪イ見本デスガ」
「亡命スルト言ウノハ本当デスカ?」
「病院ニ入院サセラレタ時ニソノ計画ヲ練リアゲ、今少シヅツ取リカカッテイマス。アナタハ日本ニ残ッテアヂトヲ守ッテイテ欲シイ」
彼は話し続けた。
わたしはネット共和国の国民になってはいたが、まだシンパ的存在で穂高の思想に完全に賛同してはいなかった。まだ常識人の意識が抜け出せず、学生時代と同じく、猜疑心が強く、曖昧な部分があった。
彼の家で話し込むと、帰りが夜の十二時近くなる事があった。
その日、夜の十時ごろ、バイクで帰ろうとしていた。戸建ての団地から大通りに右折して出ると、後ろから乗用車が猛スピードで追い抜いていった。ライトを消した黒の車でおかしいなと思った。乗用車は三十メートル位走るとユウターンし、わたしのバイクに向かってきた。ぶつけられると思ってわたしはバイクを歩道に乗り上げさせた。黒い乗用車はすれすれで走り去った。
わたしは狙われていた。
石川から、部屋に遊びに来るようにと言う電話が時々入ったが、胃の具合が悪いと言う口実で、いなした。彼の車と道ですれ違うことがあったが無視し、スーパーマーケットで
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