を外してくれ、とつぶやいていました。死ぬまでまで搾り取られるんですね。死ぬ自由さえ奪われてるんですね、人権という美名のもとに。わたしはこの家から運び出される自分の姿を見ていました。捜査官が二階の仕事場に上がり、パソコンから情報を盗み出す場面も見ていました、卑劣な連中のやることですから私は黙っていました。医者に、私は疲れて眠り込んでいただけですよ、どこを調べても何の異常はありませんよ、と訴えて退院させて貰いました。幽体離脱をしていたなんて言ったら、それこそ精神病院に回され、どんな病名をつけられ何をされたかわかりません」

 「情報を見られたらやばいんじゃないですか?」
 「暗号に変えていますからそう簡単には分かりません。公安も真剣になってきましたね。世界で十万人の会員達が過激な言葉で書き込み、民主的奴隷制度、資本主義が地球を滅ぼすと訴え、闘争を起こそうと叫んでいるんですからね」
 穂高は考え込んだ。
 カーテンの隙間に目を向けた。
 「パソコンの情報も携帯電話のやり取りも読みとられ、私達の行動も監視されている。この家での会話の盗聴は絶えずチェックしていますが彼等はプロだからそれを上回る技術をもっているかもしれない」
 彼は声を潜めた。
 「パソコンはパスワードが無いと開けられませんよね」
 わたしは言って、ミナイクヨと日付、を思い出した。
 「実はあの時、香織に口が滑ってしまったんですよ」
 「何が?」
 「セックスが終わって、何回逝ったか尋ねたときに、その言葉が」
 「それであの時捜査員がすらすらと打ち込んでパソコンを開いたんですね」
 「わたしと香織しか知らないパスワードを何故捜査員が知っているんでしょう?そして、わたしは石川の部屋で中村の姿を見た。今度、香織に正してみます」
 「彼等ハグルダ。私ハモウ一つノ窓ヲパソコンニ開き、今ノネット共和国ノページニハ偽ノ情報ヲ流シテヤル、考えヲ変エテモウ解散スルト言ッテ」
 穂高は極端に声を潜めた。
 彼等がぐるだということは、香織は公安警察のスパイで、石川は穂高を探るためにわたしに彼女を紹介したということではないか!

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