集金仲間に代行してもらおうと考えた。

 逆に石川への意識が強くなり、恐怖心も混じって張り付いてきた。バイクで走ってるとき、黒のクラウン・マジェスタの姿を注視し、そのナンバーも確認するようになった。仕事を終えて帰宅すれば、家の前の駐車場にその車を探し、闇の中に人影、気配を探していた。石川そして赤いトタン屋根の連中への恐怖を感じていた。「どうしよるなあ?遊びに来んなあ」と、携帯電話に彼の言葉が入れば、「胃をやられて具合が悪いけん、ようなったら行く」と答えた。「そうなあ、気をつけない。近々、お見舞い方々、家にお伺いします」といってきた時、一瞬目の前が真っ暗になった。
 香織と待ち合わせをするときも同じように警戒していた。待ち合わせ場所やホテルは時々変えた。わたしの体重は十キロも減っていったが、会うことを止めようという考えは起こらなかった。十日に一度はいつものように性器を交えた。
 「この前ねえ、石川さんのとなりの飛松さんから自宅に電話がかかってきたんよ、ケイタイの番号は教えとらんけね」
 車の後部席から、香織は声を掛けてきた。
 石川の紹介で、飛松と彼女は二度交わっていた。
が、売春婦と罵られて以来、彼女は会うことを拒否し会っていない。一度、石川がテープを再生し、飛松と交わった彼女の絶叫をわたしに聴かせたことがあった。
「あんた、石川さんから宝石を預かっとらんね、ち彼が言うけびっくりしたんよ。それ、どういう事?って聴いたんよ」
彼女の質問に飛松は説明していった。
飛松は金貸しをしていて、借金のカタに取った宝石や骨董品を押し入れの中に隠していた。ある時、指輪が一つ二つと消えていくのに気づくようになった。アパートの住人達、皆独身者で勤めを持っていたが、を呼んで、盗難のを話し、泥棒に気をつけるように伝えた。彼等は飛松の親切心に礼を言い、石川も神妙な顔で聴いていた。
二週間後、金の指輪が二つ消えた。彼はハンガーに掛けた作業服の並びの中にビデオカメラを備え付けた。十日後、石川が侵入し、押入を開ける姿が映っていた。飛松は石川の部屋に怒鳴り込んでいった。石川は顔を青くし、ペタンと座り込んで、額を畳に擦り付けた。何度も、「許してくれ」、と哀願した。石川はパチンコと競艇に兼ねを使い果たし、飛松から金を借りていた。返すためにまた、パチンコ屋や競艇場に通った。そしてまた、借金をした。次は、飛松の部屋に通い、金目の物を探し、借金を返すために盗もうとしたのだ。
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