金正日は本気です。アメリカが即座に我が国をミサイルで攻撃するでしょう。火の海になるでしょう。我々はすでに北部の山岳地帯に逃げ、地下都市に隠れています。探し出すことは出来ません。日本人は北朝鮮の武力によって目覚め、日本という国はその力によってしか変われません。日本の歴史を見てください。黒船来航による明治維新、広島・長崎の原爆による戦後の経済繁栄。わたしは日本を憎んでいるのではありません。愛しているのです)
メールは続いた。
わたしは打ち返した。
(あなたの国が火の海になって、それで良いんですか?人民が死んで良いんですか?)
彼の潔癖さはわかるが、反応が過激過ぎる、わたしは考えた。北朝鮮は経済的に追いつめられ、餓死者も出ている。開放派との対立に乗じてクーデターをおこさせ、民主国家に復帰させればよい、日本を核攻撃して、自滅するなんて考える筈はない)
返事が来た。
(私・金正日は歴史に名を残したいのです。日本と戦い、日本を全滅させ、立派に勝った将軍様という名誉が必要なのです)
(それはあなたと同じですね)
(太平洋戦争で、日本はなぜあんな負け戦を続けたと思いますか。中国侵略で戦争をしながら、真珠湾攻撃をしかけ、太平洋の島々でも戦いを始めた。連戦連敗しながら、広島・長崎に原爆を落とされるまで、多くの犠牲を出しながらも続けた。それは何故ですか?)
(物理学、エネルギーの作用です、言いたいのでしょう?)
(戦争反対を唱える平和運動家を見ると私は吹き出したくなります。戦争は自然現象の一つなのです。野生の動物たちは毎日が殺し合い。食われたり、食うたりして、一日が終わるのです。人間だけじゃないですか、誰からも食われないのは。だから人間同士で殺し合うしかないのです。破壊のエネルギーも繁殖のそれも単に化学反応で増減したり、発生・消滅を繰り返すにすぎないのです。それを精神論ですり替えても解決はしない)
次ぎの日、彼から(退院した、手数を掛けて申し訳なかった)と言うメールが入った。
一週間後、北朝鮮は核実験を行った、と発表した。
石川との付き合いは切るつもりだった。香織と付き合う上で邪魔であり、彼のいい加減さ、虚言癖も厭になっていた。新聞代は振り込み用紙を郵送し、彼に用件が発生した時は
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