私は言った。
不快な気分にに思考までおかしくなりかけていた。
「まず、発信源を探すことだ」
捜査員はハンカチで口と鼻を押さえていた。超音波から守れるはずもないのだが。
「自爆装置も仕掛けてあるはずですよ」
わたしは穂高の話しを思い出していた。以前は、自分に異変が起こった時に備えて兄・姉の連絡先を天井に大きく書きだしていたが、自爆装置に切り換えたと言っていた。
「それは二階の仕事部屋に仕掛けてあるが、今回はそこに入る正当な理由はない。これは彼を救助するための行動だから。それに自爆装置というのはこの家を爆発させるのではなく、彼のこれまでの情報を一気に削除することなんですよ」
中村は言った。
「ずいぶん、知ってるんですね」
わたしは彼の横顔を睨んだ。
この男はどこまで調べ上げているんだろう?仕事柄、物静かな相手ほど充分に注意するように気をつけていたはずだが。
捜査員は作業員を呼び、裏側に取っ手が位置する窓ガラスをガス・バーナーで焼き切らせた。
彼は焼き切られた穴に手を入れてフックを戻し、ガラス戸を開けた。
わたしは先頭に立って中に入り、電灯のスイッチを探した。
「こんな気持ち悪い気分になったのは初めてや」
捜査員はつぶやき、顔や胸をかきむしり始め、わたしは吐き気を催していた。
「ゴキブリや蚊だって逃げるんですからね」
自分の声が掠れているのがわかった。
「あなた達、どうしたんですか?」
背後からの声に三人は振り返った。
あたりを見回したが庭の木々や戸建ての家の並び以外、人の姿はない。
わたしは穂高の声を思い出した。
車入れの敷地でビニール袋が動いていた。風に吹かれて膨らみ、三人のほうにユックリと流され、這い寄ってきた。
停まった。
|
銀ラメのハイヒール p80 |
銀ラメのハイヒール |
銀ラメのハイヒール p82 |
