仲間ではありえない)

バイクを走らせながら、考えを迷わせた。

第十一章

公園で休んでいると、携帯電話にメールが入った。発信者は穂高だった。
(このメールは私のコンピューターの自動発信装置から出ています。私の波動が、その意識が自動翻訳装置にかけられ、言語化されて相手に発信されるのです。私のコンピーターは私の分身になって意識を言語に自動翻訳することに成功したのです。私は今、肉体から抜け出、霊魂になっています。家の中にいてコンピューターに波動を送っています。あなたがもし私の家の中に入り、私を呼んだとしても返事はありません。探し回ったあげく、玄関の傍にある三畳間の部屋に私の肉体を発見するでしょう。布団の上に寝ているだけですが、意識はすでに抜け出ています。目は開いたままですがね。そんな状態で寝る癖はこの歳になっても治りません。
人間の体は飲まず食わずで、四日間は生きられます。水だけ飲んだ場合は三週間生きられます。私は安全を考えて、二日間、意識を抜け出させ、金正日と合体し、彼を操れるかどうかのテストをするつもりです。これは第一報です)
公園の中は蝉時雨に包まれていた。
わたしはその内容に驚いたが、どう判断して良いのかわからなかった。
彼のパソコンにメールを送った。
(メールを拝見してびっくりしました。金正日と合体してどうするんですか?)
三分して返事が来た。
(日本を核と化学兵器で攻撃させるのです。崩壊することでしか日本の再生はありません。これは私の結論です。私は日本の国や俗人達を憎んでいるのではありません、愛しているのです。この国がアメリカの属国になり、男としての恥も外聞も忘れて、奴隷のようにこき使われていること我慢が出来ないのです。民主的奴隷制度はもう止めてくれ!)
「もう一度、ゼロから出発するしかない!変革や改革は不可能であり、崩壊にしか希望はない、崩壊させられることにしか未来はない!」
蝉時雨の中から穂高の声が聞こえ、意識に張り付いた。
 「どんな未来を求めているのですか?」

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