「こんな良い気持ちになったの初めて。霊の世界にない満足感よ」
彼女はオマンコ、エッチ、を囁きはじめた。呪文のように唱え続け、その言葉に酔った。
わたしは快楽のうねりを確かめ、調整し、見張っていた。いつまでも続くように。快楽の蓄積が一定限度に達すると、爆発し、終わってしまう。ストレスの場合は破壊か殺人に至る。単純な化学反応である。理不尽も不条理も本来はありはしない。人間主義という概念で意識が構成され始められた時からそんな言葉が産まれてしまった。
快楽の海の中を、わたしたちは手を握りあって、泳いでいた。生ぬるい水をかき分けながら、気を取り直すためにも、快感の確認をするためにも、お互いの尻や背中を強く叩き合った。痛くはなく、逆に刺激が快感を強めた。
「私、自分のオマンコを切り取ってしまいたいち、思うことがある」
「?」
「うずいてうずいて、夜、眠れんことがある」
「俺も若い頃はあった」
彼女はわたしの腰の上に、跨っていた。
腰を揺すり続けながら、両手を水平に広げて翼の形にした。
羽ばたきながら、鳥になった。
「ウー!、ウー!、ウオー!、ウオー!、逝く!、逝く!逝く!」
と叫んで宇宙に飛び立ち、昇天した。
(私のオマンコはブラック・ホールみたいよ。いろんなものを吸い込んでしまうの)
(すごい重力エネルギーで吸い込まれていく。そこから、たくさんの手が出て、男を捕まえようとしとるんやろう?何人の男を?)
(トモダチは百人はおる)
(俺はじゃあ、百分の一か?)
(今は一分の一よ。あなたと私で一つ)
(今だけよね。百人もの男と付き合えば、一人くらいは離れられない仲になるんじゃなあい?)
(私は天の邪鬼なのよ。相手が気分を害することを平気で言うし、それでも付き合うと言う人としか付き合わない)
(自信があるんだ)
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