「俺が来んかったけ、それから石川さんとエッチをしたんね?」

 「いいや。仕方ないけ、そのまま帰った。あの人は立たんとよ。あそこの大きさも親指くらいしかないし」
 「でもあのテープの声じゃあ、あんたは逝ったやないね」
 「体を舐め回されたけよ」
 「でも彼はあんたが逝くとき、両脚を閉じるとまで言ってたけどね」
 「私を満足させてくれるのはあなたよ」
 彼女は後部席からいきなり身を乗り出し、勃起していたわたしのペニスを握った。
 わたしは驚き、車は一瞬変な揺れ方をした。事故の恐怖を覚え、ルーム・ミラーに目を向けたが後続車の姿は無かった。彼女にシートベルトをさせなくてはと考えたが、快感に麻痺していた。
 これはいつか、危ないことになる!
 スピード・メーターは時速三十キロを指していた。
 (スピード・メーターは時速三十キロを指していた。ブレーキを踏み、車はマンションの塀の傍に急停車した。香織は後部席から前につんのめり、エア・コンのパネルに手を伸ばして体を支えようした。「大丈夫?」「うん。このまま行っても大丈夫と思うよ」
ルーム・ミラーを見ると、RV車から若い男が降り立っていた。ワタシは車から降りた。香織も降りた。若い男は近づいてきた。「病院代は払えませんからね」いきなり言った。「後遺症のことがありますので警察を呼びます」ワタシは言った。「どうぞ」彼は応えた)
 「どうしたんね?」
 わたしは車を道路の端に寄せ、停めていた。
 これは青浜団地で、ビニール袋のモンゴウイカを見た、その時の白昼夢ではないか?俺はその時の事故に向かって進んでいるのではないか?
 彼女にその事を話したってわかりはしない。
 「香織、白い車に乗るな、事故に会うから、って母親に言われなかったか?」
 「どうしたん?これは黒い車やない。それに私は、道であんたとすれ違っても知らん顔するち言うたろう?私のことを詮索するんやったら付き合いは止める。止めるね?」
 激しく、言った。
 「もう詮索せん」
 わたしは折れた。

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