法則と言っても良い。流れを一時的に止めたつもりでも流れは常に下方をめざしている」

「下方というのはその女で無くてもいいわけじゃないですか」
「彼女と電話で言葉を交えたと言いましたね?そこで二人の波動が共振したかも知れない。それは後に出会うことによって結果的にわかることだけど。あなたがその話しを持ち出した事は彼女のイメージを作り上げ、彼女に波動をおくることにもなる・・・。それにあなたは女に対して弱く未熟なところが多い」
彼は冷静に言い、
「男は脳で感じ、女は子宮で感じるから動物的で単純ですよ。男の感性で女を捕らえると、とんでも無いしっぺ返しを受けることになるから、気をつけた方がいい」
と付け加えた。
それから大学時代に超音波発情装置を自分で作製し、若い女を誘惑した話しを始めた。片手に持てるくらいのその装置を離れた位置から女性の下腹部に照射し続けると、女の方から寄ってきたので自分でも驚いたと言う。昆虫がフエロモンに反応するようなものだという。
その装置が無くても女は彼に寄って来たであろう、彼は錯覚しているのだ。
痩せて端正な顔立ちで、知的センスがあり、感性のにじんだ会話もできる。知識が豊富過ぎて学術的表現になり、哲学にまで深まっていき、俗人には難しい男という印象を与えやすいが。
女性との同棲経験は五度も繰り返したが、波長の合う女に出会えなかったという。
「理想的な女性というのはもしかしたら自分の肉体を女性化し、精神の部分は自分であるようなものじゃないですかね?すると対立することもないし、相手が今何を望み考えているかもわかるし、いつも幸福な気分でいられる。私は仕事上いろんな人に出会うけど兄と妹かと思えるほど心も顔立ちも似た夫婦に出会うことがあり、二人は幸福そうな顔をしている。穂高さんもあなた自身を女性化したような人とならうまくやっていけるのじゃないですか?」
私は言った。
「私もそんな女性を探している」
彼は笑い、女に対する哲学を話し始めた。
動物に例えるなら、男は犬であり、女は猫である。犬は忠実であり、猫は気まぐれでわがままである。本性がまったく異なる両者がうまくやっていけるはずがない。結ばれる事自
前
銀ラメのハイヒール p21
カテゴリートップ
銀ラメのハイヒール
次
銀ラメのハイヒール p23