そして、わたしの思念の波動を読んだ?するとわたしの現在の心の波動も読めるのかな?

三時間位経ってわたしがそろそろ帰ります、という前に彼は立ち上がって、次回の出会いの予定を告げる事が多い。以心伝心というように心の動きが伝わっているのだ。
「実は」
とわたしは切り出して、女の話題に持っていこうとした。石川という男の人物像から話し始めた。
彼は黙って聴いていた。
「その人は性的マニアだね」
と答えた。
女を紹介しようとしている事も言った。
「危ない、止めたほうがいい。トラブルになる」
「わたしもそう思う。まだ約束したわけではないし、女に二万円を渡す事が条件だからトラブルにはならない」
しかし、石川は赤いトタン屋根の家に出入りし、暴力団とのつながりが出来ていた。以前私がトラブルを起こした所であった。親分との出来事を思い出すと、とうてい女と会う気にはならない。
「私はあなたと彼女の出会いをすでに見、結果を知っている」
「どういうこと?」
「あなたや私の人生は多次元で枝分かれし、何億人のあなたや私がその枝のなかで生きているのです。今、私とあなたがこうして話しをしているのはその何億分の一の光景に過ぎないのです。私は彼女のことも石川のことも知っています」
「どんな関係なのですか?」
「それは言えません。言ったとしてもあまり意味がありません」
「私と彼女が会うとどんな結果になるのですか?」
「不幸な結果です」
「会わない方がいいのですね?」
「そうです。出来れば会わない方がよい。会わないことが出来ますか?だが、あなたの心、その流れは決まっている。こういうと私が唆していることになるから言わないでおこう」
「言ってください。どんなふうになるのですか?」
「水は高い方から低い方に流れ、川になる。その流れを止めることは出来ない。物理学の
前
銀ラメのハイヒール p20
カテゴリートップ
銀ラメのハイヒール
次
銀ラメのハイヒール p22