劈く音が一斉に集中した。
船室に逃げ込もうとして、倒れ掛けた。
穂高は立ったままだった。動かなかった。
「早くしろ!俺は全部観てわかっていた!だからこうしてやってきたんだ!おまえらを全部殺す為には俺が死ねば良いんだ!」
と叫んだ。
強い速射音が連続した。
穂高は崩れ落ちた。
船長は駆け寄り、彼の体を船室に運び込もうとした。速射音がその体にまとわりつき、崩れさせていった。
船室のガラスが割れ、落ちていった、心地よい崩壊音・・。壁が打たれ、破れていく。
大きな砲撃音が起こった。
船体が軋み、壊れていく。
船は沈没し、凍るような海の中で死ぬだろう。
やっとこの日が来た。
待ちに待ったこの日が来た。
わたしとダミーは床に伏せ、体を縮めていた。
「何だ?!誰だ!?どっち側だ!北朝鮮か?日本か?こんなことをするのは!それだけは知りたい」
わたしは恐怖から逃げるためにも叫んだ。
「どっちも同じなんよ!同じ穴の狢よ」
ダミーも叫んだ。
わたしは考え、
(敵の敵は、敵だったんだ)
意識内で言った。
速射音がアラレになって、叩き付けてきた。
船室のガラスがこぎみ良い音を立てて割れ、壁がブス、ブスと連続して唸っていく。まるで協奏音だ。
体中の感覚が失われ、命が収斂され一つになっていく。体に弾が当たっているのかもわからない。陶酔感だ。
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