人間は宇宙の中では下等動物に等しい。(猿の惑星)と言う映画の中で、人間は猿によって檻の中に閉じこめられたが、それは大いに予想出来ることだ。
穂高は国内に潜伏している日本赤軍と思想の調整を論議し、共闘の道を探っている。それは調整・共闘に見せかけながらじつは踏み台にして実権を奪う方途であり、旧来の共産主義など信じ切ってはいない。北朝鮮の日本赤軍のシンパとのパイプを確実なものにし、亡命のチャンスを窺っている。
「私が穂高さんの世代の男だったら、死刑になるか敵に殺されていたでしょう。こんな歳になるまで生きている男ではなかった」
彼は若い笑いを見せて言った。聞き取れないくらいの囁きだったが。
わたしが興味深げな表情を見せると、
「要人のテロをやっていたでしょう」
と言って、脚を組んだ。
「テロ少年なんだな。その気持ちはよくわかる」
わたしは言いながら、自分の青春の波動を蘇らせた。
「俺たちは若返っていくんじゃないか。中学生、小学生、幼児にまでさかのぼっていく」
「胎児になり、産まれる前の元素にまで戻っていく」
「何に生まれ変わりたい?」
「鳥だな。自由に空を飛び回り、一生を飛び回って、死ぬときはパタっと死ぬ。鳥が止まり木に止まれなくなった時、あの死に方はあまりにもあっけなくて、まるで物質みたいだった」
「鳥を飼っていたのか?」
「狭いアパートの部屋で飼っていたんだ。週に一度は篭の中から出してやって部屋の中を自由に飛び回らせた。ある時、私はインフルエンザに掛かって熱を出し、三日間寝込んでしまった。そろそろ部屋の中に放してやる頃だと考えていたが、自分の体が動かない。鳥がしきりに羽ばたいて、篭の中から出たがっているのがわかったが私は起き上がることも出来ない。すると、その夜寝ている時体に何かが捕まっていると感じた。篭の中に居た筈の二羽の鳥が私の肩と胸に止まっていたんだ。赤っぽい不思議な色を放って。私は手を伸ばして触ってみたけど、プラズマ状態で感触があるようでなかった」
「波動の固まり、霊魂だったんだな」
「うん。鳥が幽体離脱したんだよ。二羽のつがいの鳥は何年か後に死んでしまったけど、
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