(殺意だってエネルギーの一種だから、悪でもなければ特別なものでもない。宇宙によってプログラムされたものにすぎず、宇宙の意志にすぎないのです。光をプリズムに通すと七色に別れ、それをまた集めると無色の光になるように殺意も一つの色にしかすぎない。世間では悪いことだと、青少年に意識付けをするから逆に執着してしまう)
ある時、穂高はいった。
(この世の秩序を保つためにそれは悪いことだと教えてるんでしょう)
わたしは反論した。
(ではお尋ねしますが、この世の秩序っていったい何何ですか?意味があるんですか?)
彼は押してきた。
それにまったく意味を持たない者に反論しても意味がない、と判断してわたしは黙った。
(そこなんですよ。私と他者が異なるのは)
彼は追い打ちをかけ、自分が他人と異なることにことに誇りを持っているのだった。
彼にとって殺人など取るに足りないことであり、赤信号と同じくトラブルになるから渡らないだけの事である。わたしもある程度共感するところはあるが彼ほどはっきりとはいえない。
純粋世界でしか会ったことのない穂高が香織に殺意を抱くことはあるのだろうか?いや、彼女自身がスパイ行為をして彼を裏切っていた、彼女はその事への自責の念が最も強かったのだろう。
あの時RV車は殺意を持って近づいてきたのだろうか?いや、人目のあるところで事故を装って殺人を犯すなんて賢明な策ではない。単に道に出ようとしたのだろうか?
あるいは香織の幻影だったのだろうか?いや、わたしは走り去るRV車の後ろ姿を見ている。二人が同じ幻影を見、波動を感じていたとしたら?彼女は殺されるかも知れないと言う恐怖、わたしは殺意という波動をお互いに脳で感じ取り、彼女の視覚に伝達したのだろうか?
それに幻想の中で見た事故、その中では運転席から男が降りてきて(お金は払えませんからね)と開口一番に言ったはずだった。顔も見せ、警察官の現場検証に立ち会い、運転免許証、車検証も提示したはずだった。
しかし、今回、加害者は消えている。
それはどういうことなのか?
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