金気で汚れていたことを思い出した。石炭を掘ったときに鉱石が出て、金属が滲み出したのだ。崎本婆さんが若い頃が修行をしたという滝が祠の下にあったが、水量は少なく、高さ三メートルほどの小さなものであった。

大蛇は見つかりそうになかった。そうそう簡単に見つかるものではないし、見つからないでほしかった。
なにか嫌な気分をもよおしていた。
山の頂上にはほどなく、着いた。
地面に落ち葉が散らばっているだけで何もなかった。
見上げると、空は混み合った枝葉に閉ざされて色を失い、どんより曇ったままだ。
今日はハイキングをしに来たということで良いではないか。
それで十分だ。
大蛇のことより、闇の訪れのほうが怖くなってきた。
夕暮れを感じたので、降りることにした。
空を見上げて日の沈む方向を探ってみたが、曇っていてわからない。
困った。
道路がそばを走っているはずなので、そこに出れば良いのだ。下っていけば道か道路に出るはずだ。
心配することはない。
およその検討をつけて降りかけてみたが、車のエンジン音は伝わらず、ライトも見えない。
冬の日の落ちる時間は早い。
元来た道を降りているのだが、同じようなものばかりだから記憶に残った木や根はなかった。
山道といっても道にはなっておらず、木と木の間の地面にしかすぎない。平らな地面に落ち葉が積もっていて、足を滑らせそうになる。
下ってはいるがどこへ向かっているのか分からない。
ほとんど人が訪れない山なのだろう、空き缶や菓子の袋もタバコの吸い殻も目につかない。
暗くなる前に山から降りねばならない。
明るい方向を目指して進み始めたが、密生した雑木の藪にぶつかると迂回しなければな
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