すると、木の間から明かりが現れ、焚き火になった。
無縁仏を見つけると、焚き火が現れる。
これはどういうことだ!
「オーイ!誰か居るんか!」
思わず、叫んだ。
「出て来い!出て来い!」
こうなったら、正体を見極めてやる!
木霊が下のほうから返ってきた。
二度、返ってきた。
また、静寂と沈黙に戻った。
突然、何かが起こった。笑い声のようだった。
人間の笑い声?
「なーん、うろうろしよるんな!」
焚き火の方から声は発せられていた。
人の後ろ姿が逆光線で黒く見えた。
座っている。
「俺の周りをいつまでもうろうろしてからー、こっちに来んな!」
親しみを含んだぞんざいな口調だった。
わたしは恐怖、と同時に助けられたと思った。
歩み寄った。
いや、観念していたのだ。
すると、気が楽になった。
これはどこかであるいは夢の中で経験したようだった。
「あんたの気配はかなり前からわかっとった」
男は顔を向けずに言った。
わたしは立ちすくんだ。
「こんばんは」
場違いな言葉かもしれなかった・
「まあ、座んない」
洞穴が火のそばに映し出され、その中に平らにしたダンボール箱が見えた。
 
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