ブログ - 20200213のエントリ
月に、二、三度、不思議で、怖いことに、出会う。朝、目が覚め、まだ半覚醒状態である時、布団のそばに、全く知らない男が座っている。身動きもせず、黙っていて、ただ座って私に向き合っている。ある時は、机の背もたれから現れ、ある時は右手のガラス戸に座っている。
怖くなって、叫んだり、足で蹴りあげようとしてガラス戸にぶつかり、その痛みではっきりと目覚める。男の座像はすぐに消える。以前はそんな時、人形棚の人形たちが踊ったりしていたが、寝床がちがう場所に変わったのでそんなことはない。
寝ぼけた、とか夢遊病だと片づければ簡単なことであるが、バイパス手術後の麻酔の切れていないときにも似たような症状が出た。病室の半分が公民館の事務室に変わって、壁に盆踊りやソフト・ボール練習のポスターが見え、迷妄状態を体験した。
前置きのエピソードが長くなったが、今、書き始めた小説にこのことが絡んでいるからである。宗像市の農家にNHKの受信料の集金で回っていた時、ある老婆が話したことがあった。
年老いた夫が、死ぬのが怖い、俺はどうやって死ぬのか?と言い始め、ついには屋敷の納屋に行って、首を括ったという出来事であった。72 歳になった自分が、死、のことを考えないはずはない。
そして、自分もその男の考えることを考え始めたのである。
おれはどんな状態で死ぬのか?死んだらどうなるのか?と。
小説は次のように進む。夢うつつの中で出てくる男が、首を括った男、そして私の分身である。わたしは庭で焚火をしている時に、火の中に飛び込み、焼身自殺をし、その灰が庭の野の菜や椿、山茶花、イチョウの木の肥料になるという構想であるが、どんなものであろうか?